【現地レポート】バリアフリーeスポーツカフェ「Any%Cafe」オープニングイベント

eスポーツ

7月20日、東京・品川にて、株式会社ePARAが運営する、バリアフリーeスポーツカフェ「Any%Cafe」(エニーパーセントカフェ)のメディア向けオープニングイベントが開催されました。

JOZを運営するビーウィズ株式会社もこの取り組みを支援しています。そのご縁もあり、オープニングイベントにはゲストプレイヤーとして、JOZからむぎ選手が参加しました。

当ブログ、Oh-JOOOOZ!!編集部の希央(以下、筆者)も、イベントを現地で取材しましたので、その模様をレポートします。

バリアフリーeスポーツカフェ「Any%Cafe」とは?

カフェのロゴ

Any%Cafeは、株式会社ePARAが運営する、地域・年齢・性別・障害の有無に関わらず、誰もが気軽に利用できるeスポーツ施設です。バリアフリー設備を整えることはもちろん、障害特性に応じたサポートが受けられるのも特徴です。

また、2020年に行われた、国内eスポーツのさらなる発展に寄与するようなビジネスモデルを発掘するための、eスポーツ特化ビジネスコンテスト「esports BizContest ~Evolving esports~」で優勝した企画でもあります。

※東京都に発出された緊急事態宣言に伴い、本格開業は2021年9月を予定(2021年7月 掲載時)

セレモニーイベントとして行われた第1部

エア乾杯 左から、加藤氏・伊藤氏・河野氏

第一部では、株式会社ePARA代表取締役社長の加藤大貴氏の挨拶から始まり、このカフェの開設に至った熱い思いが語られました。

「障害の有無にとらわれず、だれもがより輝ける場所をつくりたい」という思いを持って活動されているePARA。コロナ情勢下の今の時代だからこそ、オンラインだけでなく、オフラインにも集まることができつながることのできる場所が必要だという加藤氏。その想いは、オンラインの活動が主となっている筆者にとっても非常に共感できる部分です。また、このプロジェクトはクラウドファンディングで80万円を超える支援を獲得しており、多くの支援者に対する感謝の意も述べられていました。

続いて、弊社、ビーウィズ株式会社から執行役員の伊東雅彦が登壇。障害者とゲーム・eスポーツのかかわりは、その人の新たな一面を見つけることにも役立っています。今後取り組みが広がることで、障害のある人の活躍の場を広げるきっかけになるのではないかと思いました。

最後に登壇したのは、BTOパソコンの販売を手掛ける、株式会社サイコム代表取締役社長の河野孝史氏。「真のバリアフリーは障害のあるなし関係なく、一緒に人生を楽しめること。会社としても個人としても、バリアフリー社会に少しでも協力していきたい」とコメントしました。

河野氏のコメントの中にあった、「一緒に人生を楽しめること」が筆者個人的には一番ぐっと来た部分で、バリアフリーという言葉の真の意味に気づかされました。

締めはコロナ情勢下に配慮した、出席者によるエア乾杯で、イベント第一部は幕を下ろしました。

イベントの司会進行は、全盲の声優・直也 氏

演台に立つ直也氏

また、今回のイベントでは、全体の司会進行を「Fortia from ePARA」に所属する全盲の選手であり声優の、直也さんが行いました。

筆者はもともと直也さんとオンラインでの交流があったのですが、「見えていない中でできること」の幅広さに今回も驚かされました。

進行台本は点字ディスプレイという機器を使って読むそうで、長時間の司会も難なくこなすさまは、まさにチャレンジ精神にあふれるものでした。

白熱のイベント第2部『鉄拳7』エキシビションマッチ

第2部では格闘ゲーム『鉄拳7』を用いたエキシビジョンマッチが行われました。

エキシビジョンマッチのゲストとして、CYCLOPS athlete gaming所属でレッドブル・アスリートのたぬかな選手、Extractor所属のS.H.O.W選手、ビーウィズ株式会社JOZよりむぎ選手、そして遠く離れたケニアからもシルビア・ガソニ選手がリモート参加。豪華ゲストがそろいました。

また、Fortiaからは渉外担当として活躍しているという、たま選手、そして先ほどまで司会席に座っていた直也さんが、選手として参戦しました。

なおFortiaの選手のユニフォームにはJOZとビーウィズ株式会社のロゴも掲載されていますよ。

第1試合 たま(Fortia) VS シルビア・ガソニ(ケニア)

初戦を飾るのは、ケニアから参加するガソニ選手と、ePARAでは通訳としても活躍するたま選手の対戦。

ZOOMで参加したシルビア・ガソニ選手

遠く離れたケニアとの対戦ということもあり、「1秒がなっがい…」というたぬかな選手のコメントが飛び出すほどに、タイムラグが発生していました。お互いカクカクした動作になってしまい、技のタイミングが合わせづらい状況の中でも戦い抜いた二人。

ガソニ選手からは「こうして鉄拳を通じて、日本のイベントに参加できたことを大変うれしく思う」と、国境を越えたeスポーツだからこそできるコメントがありました。(たま選手・訳)

場所によらないというeスポーツの特性は、Any%Cafeでも重視されていて、オンラインとオフライン双方でも対戦できるようになっているとのこと。オフラインの場所でありながら、しっかりとオンライン対応されているのも、良いところだと感じました。

第2試合 直也(Fortia) VS 加藤大貴(ePARA)

直也選手のプレイ模様

注目の第2試合は、全盲プレイヤー直也選手とePARA加藤代表のドリームマッチ。選手と代表、どちらも負けられない、意地のぶつかり合いとなります。

その中で魅せたのは直也選手。先天性全盲の直也選手は、ゲーム画面が全く見えない状態で、音だけでプレイしています。

音による情報把握が的確なこともあり、コンボをしっかりと決めていく直也選手に対し、加藤代表はトリッキーな動きでかわしながら翻弄していきます。

ePARA代表、そして初代鉄拳のアーケード経験者として負けられない加藤代表。しかし、マッチはもつれながらも、直也選手が押し切り勝利となりました。

筆者も初めて直也選手のプレイをじかに見たのですが、目が見えていない人が本当に格闘ゲームで見えている人と対等に渡り合っているという事実に、何が起こっているのか理解するのに時間がかかってしまいました。見えていないがゆえの弱点はありますが、トリッキーな相手にも果敢に攻め込み勝利を飾るさまは圧巻で、会場もどよめいていました。

第3試合 むぎ(Bewith-JOZ) VS S.H.O.W(Extractor)

JOZ所属プレイヤー むぎ選手

最終となる第3試合は、ビーウィズ株式会社・JOZ所属のむぎ選手とS.H.O.W選手の戦いです。

使用キャラはむぎ選手が州光(クニミツ)、S.H.O.W選手がアリサとどちらもスピード系女性キャラということもあり、目まぐるしく変わる戦況に会場は魅了されていきます。

「Fortia from ePARA」コーチでもあるS.H.O.W選手

会場にはオフライン対戦ならではの、アーケードコントローラーの音が響き、緊張感がさらに高まります。(お二人ともマイコントローラー持参でした)

白熱する試合は、互いに譲らず一進一退の攻防戦に。結果はS.H.O.W選手の勝利となりましたが、互いに満足げな表情をされていたのが印象的でした。

JOZ所属ながら、筆者とは初対面のむぎ選手は、「口下手なので…」とステージでもサイドでも終始控えめに話していましたが、プレイスタイルは大胆で迫力があり、驚かされました。

軽妙なトークを繰り広げた、むぎ選手

また、解説のたぬかな選手はむぎ選手とは同じ関西出身で旧知の仲だということもあり、試合前後も和気あいあいとした雰囲気で話されていました。

たぬかな選手は大阪のゲームセンターでのむぎ選手との出会いや、そこで起きたほっこりするエピソードも紹介。

むぎ選手がゲームセンターで鉄拳に熱中しすぎて、帰りの電車賃不足に。徒歩3時間かけて帰ろうとしたので、その場に居合わせた、たぬかな選手が、むぎ選手を自宅まで送っていった。」というもの。

会場が笑顔に包まれる中、むぎ選手が恥ずかしそうにしていたのですが、現場が和む、いいエピソードでした。

こうして、合計2時間30分に及ぶイベントは拍手の中、幕を閉じたのでした。

まとめ:本格開業が楽しみになったオープニングイベント

今回のAny%Cafeオープニングイベントは、緊急事態宣言下ではありましたが、終始華やかなムードで進行し、株式会社ePARAが目指されている「みんなの居場所」としての雰囲気にあふれるイベントでした。

また、弊社JOZ所属のむぎ選手が、大勢のメディアの前でしっかりと戦いぶりを見せてくれたことも、現場にいたJOZスタッフにとってはうれしいポイントでした。

筆者自身、オフラインで鉄拳7の対戦を見るのは初めてでしたが、その迫力に度肝を抜かれました。新型コロナウィルスが落ち着き、オフラインイベントがふたたび盛んになった暁には、実際の大会も観戦してみたいです。

バリアフリーeスポーツを謳う、ePARAと、ゲームに真剣に取り組んでいる人がさらに輝ける社会をめざすJOZ 。改めてその親和性を確認するとともに、これからも共に成長していければと、願ってやみません。

Any%Cafeの本格開業は9月以降とのことですが、バリアフリーeスポーツとしてのePARAの動向を含め、今後の展開が非常に楽しみです。

(文中写真はすべて筆者撮影)

店舗情報

名称:Any%CAFE(エニーパーセントカフェ)
アクセス:東京都港区港南2-5-12 (JOYSOUND品川港南口店内)※JR品川駅港南口より徒歩4分
運営:株式会社ePARA
営業時間:平日週2日 13:00〜20:00 (事前予約制)※開催する曜日は調整中
Webサイト:https://any-percent-cafe.studio.site

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