スマートフォンやインターネットの存在が当たり前になった現代。その影響を受けているのは子どもたちも例外ではありません。今の子どもたちは、小さなころからインターネットやIT機器に触れており、小学校ではプログラミング教育も始まっています。
この連載では、ITや科学テクノロジーにあふれる現代の教育手法として注目される、『STEAM教育』(スティーム教育)について、実際の取り組みも含め、シリーズで紹介します。
今回は「STEAM教育の現在」ということで、日本と海外ではどのような事情があるのかをご紹介していきます。
STEAM教育についてと、なぜ今それが注目されているかについてはこちらの記事をご覧下さい。
日本でのSTEAM教育事情
例えば文部科学省では、2009年からSTEAM教育について考えてきていました。これまで・もしくはこれからは下記のような取り組みを実施するそうです。
小学校でのプログラミング教育
2020年度に学習指導要領が改定される際、小学校ではプログラミング教育が必修となります。様々なインターネットツールが使えるようにするための基礎となる能力を養います。
スーパーサイエンスハイスクールの指定
文部科学省が指定した高等学校で、特に先進的な理数教育や、創造性・独創性を育てる指導を行います。現在では日本に200校以上があります。
めがね橋LOGIC
他にもSTEAM教育を意識した指導を行う学習塾も最近は出てきました。例えば弊社でも、以下のような取り組みも行っております。
海外でのSTEAM教育事情
ここまで日本での事例を取り上げましたが、海外ではこのような事例があります。より規模の大きい取り組みを行っていることもあります。
National Schools Partnership(イギリス)
こちらでは「どうぶつの森」で街を作って経済・建築等を学ぶ、ポケモンで英語の文法やスペリングを学ぶといった取り組みをしています。
ACMI(アクミ)ー映像、テレビ、ゲーム、アート等「スクリーンカルチャー」の博物館(オーストラリア)
ACMIが授業で使えるゲームのレッスンプランを無償で提供しています。
内容については
- ゼルダの伝説でストーリー制作、ゲームの中の神話を見て世界観や人々の暮らしにどのような影響を与えているのか、Zelda Classicを利用して生徒のストーリーを実際にプレイできる
- マインクラフトでオーストラリアの先住民の文化や歴史、言語を学べる
……など。
ACMI Game lessons(https://www.acmi.net.au/education/school-program-and-resources/game-lessons/)
STEAM教育で用いられるゲーム
Fortnite Creative
「フォートナイト クリエイティブは、ゲームやフォートナイト体験をデザインするための幅広いツールを提供しています。オリジナルの発想でフォートナイトを形作ったり、フレンドと一緒に創作したり、あなたの傑作を世界中のプレイヤーとシェアしたりしましょう。」
フォートナイト(https://www.epicgames.com/fortnite/ja/creative)
教育版マインクラフト
教育版では、「クラスの生徒と指導者」が一つの世界を共有でき、その中でクラスメートとの共同作業をおこなう。一人勝手な世界を作るのではなく、クラスメートとどのように協力して世界を作るか、共同作業を通して協調性も身につけながらプログラミング的思考を学ぶことのできる教材である。
小学生を中心としたプログラミング教育ポータル(https://miraino-manabi.mext.go.jp/content/376)
また、個人的に注目しているのは任天堂からリリースされた『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』ですね。
学びの中では「ゲームを制作する際のレベルデザインもわかる」仕組みとなっていて、これ自体がレベルデザインとして秀逸なものとなっています。
STEAM教育の未来
テスラのCEOであるイーロン・マスク氏はドバイの「ワールド・ガバメント・サミット」にて「これからは、人間がロボットに勝る仕事はますます少なくなる」という旨をベーシックインカムの必要性の観点から語っていました。
これは同時に、「人間をロボットに置き換えられない分野の仕事・技術」を伸ばしていく必要性もあるのでは?と私は思います。この文脈においてはSTEAM教育の、特に「A(Art)」が重要となるでしょう。
まとめ
STEAM教育については、日本は他国から出遅れてしまっていることもあり、個人レベルでSTEAM教育について考えていく必要があります。
前述した「めがね橋LOGIC」のようなSTEAM教育を行っている機関などに通うことなどで、今からでも取り組めることもありますので、ぜひ出来ることをやってみてください。